聖母から親離れして僕は。

2016年6月16日。1番大好きだったアイドルが卒業した。

卒業コンサートが行われた。その子の出身地である静岡県のエコパアリーナという会場で。6月15日、16日の二日間。

僕は、幸運なことに6月16日のチケットを購入出来た。チケットを購入出来てからLIVEまでは本当にあっという間だった。この間、何十、何百もの雑誌、テレビ、ラジオといった媒体で彼女の卒業についてのものを目にした。彼女への最後のプレゼントも沢山あった。シングルのセンターを任されたり、ソロ曲を頂いたりら番組内のLIVEをプロデュースしたり、写真集を出したり。僕はネガティヴだ。良いことが続くと、それがいつか終わってしまうことを考える。この場合の、それは「卒業」という明確なものなんだけど。でも、「卒業」という神輿に乗って前夜祭からひたすら、ひたすら盛り上がっている状態。本祭はその前夜祭の勢いを超えられるのかなぁとすら思った。そして、その本祭、つまり卒業コンサートの日を迎え、終えた今、何とも言えない不思議な気持ちになっている。だから、その不思議を少しでも整理したくて文章にしてみようと思う。

(なんか、小説っぽい書き出しにしてみた。完全な自己満。ブログなんで。)

乃木坂46に最初に接したのは、某W稲田大学の学園祭でのLIVEだった。そのLIVEがとにかく楽しかったから一気にのめり込んだ。『乃木坂ってどこ?』を見始め、『NOGIBINGO』をチェックし始めた。YouTubeの履歴に溢れかえる乃木坂の3文字。そんな時に一人のアイドルを見つけた。メンバーから「聖母」と呼ばれるその子はバラエティ番組でそんなに前に出ることはなく、音楽番組でもそんなに一人でカメラに抜かれることもなかった。でも、その子にスポットライトが当たったら、確実にその瞬間を彼女のものにしてしまう何かがあった。そして、某W稲田大学のLIVE終了からしばらくして1stアルバム『透明な色』の個別握手会があると知った。そして、誰に行くか散々悩んだ結果、あの子に行くことにした。あの時あの選択をしていなかったら、今こんなに空虚な思いをせずに済んでたのかなぁ。

「ヤバい!!!!深川麻衣!!!!まいまいと握手した。あんな奇跡的に可愛い人おるんか…」こうして推しメンが決まった。最初に決めた人をそのまま好きになる、という男らしさと言えば聞こえはいい単純さが僕にはあった。

そう。深川麻衣。本当に、本当に素敵なアイドルだった。3rdシングルで選抜入りして、福神入りして、フロント入りして、センターで有終の美を飾って卒業。出来過ぎてる。シンデレラストーリー。はっきり言ってこんなの綺麗すぎる。一回も序列が下がったことがないってさ。でもそのおかげで彼女を応援していてずっと夢を見させてもらえた。もうちょっと彼女を早く見つけてたらなぁ、と思わなくもないくらい。

彼女は優しいです。とにかく優しい。なにせ、聖母ですから。彼女が1番凄いのは一人の人間としての魅力でこれだけの人気を得たことだと思います。もちろんまいまいってめちゃくちゃ可愛いんですけど、アイドルが可愛いのってもはや当然になってきてて、そこからさらなるスター性だったりバラエティ性が必要なはず。でも、そこで戦うんじゃなくて、他人に対して優しくし、自分自身を強く持つという“彼女にとっては当然”のことをし続けた結果、これだけの存在になった、ということは全てのアイドルの標になったと思う。もちろん、最年長という立場はあったのかもしれないけれど。別に無理に優しくいる必要なんてないし、個性を探したりなんてせずにナチュラルでいることが実は1番アイドルという生き方には必要である、ということを気付かせたのはまいまいだったんじゃないかな、と思う。だいたい、個性なんて自然にしている時に生まれているものだし。でも、まいまいの個性を「聖母」と的確すぎる表現した川後陽菜ってすげぇなぁ。そりゃ、川後Pだわ。だからこそ、特に最近乃木坂46を見てて思うのは、それぞれが背伸びはせずに伸び伸びと自分を出せている、出そうとしてるメンバーが多いなと。これはやっぱり深川麻衣という聖母の姿を見た人々の教訓なのかなと思う。アイドルがトイレに行かない時代は終わって、出来る限り等身大でいる事が強みになるという時代になってるからこそ、まいまいは凄い人気メンバーになったんかなぁとか思う。「優しい」ってキャラ付けなんて実際かなりのプレッシャーやったやろなぁ。そのせいで自分の意見言いにくかったり、表現考えなきゃいけなかったり、余計にしんどい事いっぱいあったと思うけど、そこから逃げずにそれを引き受けたっていうのがもう本当に人として数枚上手だなぁ。

ヤバいね、こういうこと書いてるとどんどん泣いちゃう。

2016年1月7日にブログで卒業発表。バイトが終わって携帯見たらそんな世界になっていた。深川麻衣が卒業すると宣言した後の世界。「アイドルの卒業って何?」「その子は卒業したら何するの?」すごくよく聞かれた。俺、アイドル好きってだけでアイドルちゃうから知りまへん。実際アイドルがグループを卒業した後にLIVEなどにサプライズで登場することはたまにある。だから、そんなにアイドルにのめり込んでない人からすると、よく分からないんだろう。卒業するということは、同じ方向を同じ速度で進む群れから離れる事である。多くの場合、離れる理由として方向の違いを挙げる。でも、まいまいは卒業したらどういう方向に進むのかをはっきりとは言わなかった。だからこそ、僕としてもまいまいの卒業はぼんやりしていた。卒業コンサートが終わった今でも。

深川麻衣卒業コンサートf:id:unnaturalboy1129:20160617174959j:image

まいまいの生誕委員の人たちが『ハルジオンが咲く頃』ではサイリウムを白と黄色、『強がる蕾』ではサイリウムを緑にすることを呼びかけるプラカードを持ってずっと開演ぎりぎりまで歩き回っていた。それはまいまいを喜ばせる一心で。やっぱり、ファンはアイドルによって育てられるんだなぁ。不思議なもんで、ファンとアイドルって似る。もとから似てるから好きになるのか、アイドルの性格を好きになるから寄せちゃうのかは分からないけど。

そして、コンサートが始まる。正直、どんな感じか少し構えてた。もしかしたら前半から感動要素は多目か?とかオープニングから泣いちゃうかなぁ?とか。でも、終盤まではとにかく楽しいんです。一曲目に『ハルジオンが咲く頃』。そこから怒涛の展開。まいまいを語る上で欠かせない曲や、まいまいが参加している曲。なんなら、本来は参加してない曲にもまいまいが参加してたりして、ずっとまいまいが出てくれてる!!!何この最高のLIVE!!!となるわけです。MCも企画もまいまいが中心だったり。

 

でも、そんな楽しい時間が落ち着いてMCに入って「次が最後の曲です。」とまいまいが言う。会場はもちろん「え〜」となる。僕はそんな事より大事な事を忘れていた事に気づく。「あ、さっきまでやってた曲ってもう2度とまいまいは…」泣く。というか、それに気付かずにひたすら「ヴォイ」を連呼してサイリウム振って「フーフー」言っていた自分、完全に楽しませてくれたまいまいを始めとする乃木坂46にただただ驚く。そうじゃん、もうまいまいがいる『せっかちなかたつむり』も『でこぴん』も聞けへんやん。俺の脳がカセットテープで出来てたら、キュルキュル言わせて巻き戻したい。なんで、俺の脳はメロンパン入れるやつみたいな形しとんねん。。そして、最後の『悲しみの忘れ方』を披露。「これでLIVE終わりか…」なんて思う人は誰もおらず、メンバーがはけた途端にアンコールを始めるアホが会場の各地に現れ、アンコールを大合唱。アンコールって、本来LIVEは終わった。それなのにどうしても我慢できないからお客さん全員で力を合わせてもうちょっと聴かせてくださいってお願いするポーズやのに、はけた途端にアンコールてそれ、お前「サンタさんなんて居ない」に匹敵する興ざめ案件やないかい。夢を売るアイドルのLIVE現場で何を夢ないことしとんねん。今年のクリスマスにバチ当たれ。だいたい、そんなに急かしたら乃木坂ちゃん水も飲まれへんやろ。間を埋めながら大声出すコンテストは他所でやってくださいませm(__)m

そんなこんなで、アンコール。『強がる蕾』まいまいのソロ曲。この時、本当に客席見たら全員あかん、泣いてもーた。全員が一つの気持ちになった感動。

それから、メンバー、スタッフ、ファンに手紙を読み上げるまいまい。そして、メンバー全員一人一人と最後の会話。ここはほとんどマイクを通すことなく本当の言葉を伝え合う。何話してんのかな〜とか思いつつ見守る。でも、まいまいが凄いのはそんなに感動的な状況においても、マイクを通して言った方がいいと判断したことをはマイクを通してファンと共有してくれる。ずっとそうだった。ファンの事、メンバーの事、みんなの事を考える。しかも、絶妙に笑えるところでマイクを使うから感動と笑いのバランスがまあ素晴らしかった。もちろん泣くんですけど、やっぱりそれよりも笑っちゃう。感情だけがジェットコースターに乗っちゃうから理性だけが置いてけぼりで、だから不思議な感覚だった。涙は目に溜まるけどギリギリの所で笑っちゃうから、もどかしい。でも、それがあのLIVEの正解だったような気がする。『ハルジオンが咲く頃』は別れの歌だったけれど、別れの中にある希望を歌った明るい曲だった。『強がる蕾』もそう。別れを少し悲しんだとしても涙を見せたりはしない。それが深川麻衣の優しさであり、強さであり、笑顔だから。

だからこそ、Wアンコールで披露したのは1番最初に披露した『ハルジオンが咲く頃』だったんだろう。そうじゃなければならなかった。始まりと終わりが同じ曲なんだけど、その聴こえ方が全然違う。その体験はこのLIVEを目撃した我々にだけ許されたものであり、今回のLIVEが伝説となった所以なんじゃないのかな。

こんなに多幸感に包まれ、涙に溢れ、それ以上の笑顔に溢れるLIVEをやり遂げた今現在の乃木坂46が最高だ。

 

深川麻衣さん、あなたは最後に「私はみなさんの為になにか出来ていましたか?」と言いました。僕は数え切れないほどの癒しと笑顔と元気をもらいました。あと、少しの涙と。

ただ、今はまだ聖母と呼ばれたあなたから親離れする自信がないので深川麻衣ロスに陥ることにします。当分は、まいまい毎日マイペースじゃいられないかも。。。

本当にお疲れ様でした。

まいまい、ありがとう!!!

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